実は「権限」のない「OPEC」で調整できるのか(左からバーキンド事務局長、サウジのエネルギー相サルマーン王子、ロシアのアレクサンドル・ノヴァク・エネルギー相)(C)AFP=時事
 

 3月21日(土)の朝、「OPEC」(石油輸出国機構)事務局長が「テキサス鉄道委員会」(Texas Railway Commissions=TRC)と石油市場安定化問題を話し合った、とのニュースに接して、「テキサス鉄道委員会」って何だ、と疑問をお持ちになった読者も多いのではないだろうか?

 確かにあまり知られていない組織だ。

 筆者も、米経済アナリスト、ダニエル・ヤーギンの名著『石油の世紀 支配者たちの興亡』(上)(下)(邦訳・日本放送出版協会、1991年)を読んで、初めてその存在を知った。

 だが、日本の観点から見ると、同組織の役割はあまり重要ではないので、原油価格の仕組みと歴史を勉強して書いた『原油暴落の謎を解く』(文春新書、2016年6月)の中でもほとんど触れていない。

 3年ほど前に出版された、ブッシュ(子)政権のエネルギー担当アドバイザーだったロバート・マクナリーが書いた『Crude Volatility』(2017年1月、Columbia University Press、未翻訳)を読んで、米石油産業にとって「TRC」が果たした役割の大きさを初めて認識した次第だ。

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