苦渋の決断になるが、先駆けてこそ意味がある(C)EPA=時事
 

 筆者は国際関係論を専門としており、最近では、価値の交流を含む広義の「文化外交」に取り組んでいる。以下は、その立場からの提言である。

 新型コロナウイルスが世界で、とりわけ最近は欧米で猛威を振るっており、今や「グローバルイシュー」となっている。

 無論、日本でも感染の拡大はまだ抑え込めておらず、終息の見通しも立たない状況であるが、そうした世界的緊急事態であればこそ、日本の方が積極的にグローバルイシューに正面から取り組む姿勢を見せるべきではないか。

 日本はかつての「湾岸戦争」「イラク戦争」の際も、真の意味でグローバルな課題、ないしその大義に率先的に取り組んでいるという姿勢ではなかった。

 いま見せるべきは、まさに世界がいま注目している「東京五輪パラリンピック」開催問題についてである。

 すでに諸外国からIOC(国際オリンピック委員会)に延期すべしとの提言が出され、IOCも3月22日、「中止」は議題に含まないが「延期」の可否について緊急に協議し、4週間以内に結論を出すと表明した。

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