スイス政府が告発した「クリプトAG」(C)AFP=時事

 

 スイス政府は2020年3月1日、通信の暗号化システムを販売する国内企業を刑事告発した。

 日本ではあまり報じられていないが、実はこの企業は、世界を股にかけたスパイ工作の舞台となっていたとして、インテリジェンス関係者の間では大きな話題になっている。

 発端は2020年2月、『ワシントン・ポスト』とドイツ公共放送の『ZDF』が、この企業について報じたことだった。

 どういう内容なのかを簡単に説明すると、世界120カ国以上に暗号化システムを販売していた「クリプトAG」という名の企業がスイスに存在するのだが、実はCIA(米中央情報局)とドイツのBND(連邦情報局)が極秘に所有する企業だった。

 つまり、この暗号化システムを導入していた国の機密のやり取りなどが、CIAやBNDに筒抜けになっていたことが明らかになったのである。

「クリプトAG」とCIAやNSA(米国家安全保障局)との関係については、1995年に米紙『ボルティモア・サン』で暴露されたことがあったが、今回はさらに踏み込んで大々的に報じられたことで、話題になっている。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。