にこにこしている場合ではなかったのではないか(トヨタ自動車の豊田章男社長=左=とNTTの澤田純社長)(C)時事
 

 新型コロナウイルス感染拡大による東京オリンピック・パラリンピックの延期決定の公表に数時間先だって発表された、トヨタ自動車とNTT(日本電信電話)の資本提携。

 大変革期にあるモビリティと通信の両分野の巨大企業が手を結ぶインパクトのあるものだった。

 だが、スマートシティ構築での協力と言われても、一体、何をするのか、両社がそこからどのような協業の成果をあげるのか、まったく実感が湧かない。

 トヨタの計画する東富士(静岡県裾野市)のスマートシティ「Woven City(ウーブン・シティ)」のイメージ動画は美しいが、巨大企業が組めば成功するはず、という根拠なき楽観だけが漂う印象だった。厳しい表現を使えば、「令和の大艦巨砲主義」だろう。

中国自動車メーカーの経営判断

 いきなりスマートシティと無関係な話に思われるかもしれないが、豊田章男社長の提携に関する明快な説明を聞きながら浮かんだのは、トヨタは新型コロナウイルス対策のためにマスク生産に乗り出す発想はなかったのか、という疑問だった。

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