3月26日、イスラエルでベンヤミン・ネタニヤフ首相と、対抗馬で「青と白」選挙連合を率いるベニー・ガンツ元参謀総長が、新型コロナウイルス蔓延による危機を背景にした大連立での組閣に合意した模様だ。

3月25日に両者は3月2日の議会(クネセット)総選挙投票以来2回目の電話会合を行っていた

これまでの報道によれば、合意によりネタニヤフは18カ月間首相職にとどまり、2021年9月にガンツに禅譲することを約束し、それまではガンツには外相などのポストが与えられることになりそうだ(組閣までの間、ガンツはクネセット議長の職に就く)。

イスラエルでは昨年4月9日、9月17日の総選挙でネタニヤフ首相の右派リクード党とその連立パートナーの超正統派などの諸政党は過半数を取れず、1年の間に3度目の投票が行われる事態となっていた。その間にネタニヤフ夫妻の汚職に関する訴追手続きも進み、ネタニヤフの政治生命が尽きる寸前まできていたが、突然のコロナ禍を奇貨として、ネタニヤフがまたも息を吹き返した。また、何度選挙を繰り返しても結果がほぼ変わらないであろうイスラエル社会の分裂に基づく政治的デッドロックを、伝染病が強制的に終わらせた、あるいはしばし停止することを余儀なくした形だ。

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