「感染抑え込み」強調で「反転攻勢」習近平が狙う「健康の一帯一路」戦略
2020年3月27日

4月の全人代開催も視野に入れ、戦略転換か(C)AFP=時事
新型コロナウイルスのパンデミックで、中国は、習近平国家主席と一党独裁体制の中国共産党の指導力があったからこそ危機を脱した、という局面を国内外で作り出そうとしていることは、前回の拙稿『「ウイルスは米軍のせい」「主席に感謝せよ」習近平の「焦燥」』(2020年3月16日)で触れた。
習近平指導部は、東京五輪まで延期せざるを得ないほど世界が混乱、とりわけ欧米に感染の中心が移った今こそ、悪化した中国の対外イメージを変え、さらには中国の国際社会での影響力拡大を可能とする「反転攻勢の絶好の機会」としてとらえているようだ。
そのカギとしているのが、中国から世界への支援、つまり国際協調する責任大国としての姿を宣伝することである。
4月8日に湖北省武漢市の封鎖を解除することを3月24日に発表したが、延期されていた全国人民代表大会(全人代=国会に相当)を早ければ4月中に開催し、「終息宣言」すると考えられる。
新規感染者“ゼロ”の疑惑
まず、武漢封鎖解除の布石となったのが、武漢での新規感染者ゼロ(3月19日発表)である。中国国内の報道は、新規感染者はすべて海外から帰国した中国人など中国本土以外で感染したケースであると強調する。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。