全米中でも屈指の「石油州」テキサスではすでに甚大な被害が発生している(写真はイメージです)
 

 首都圏で人生の大半を過ごしている筆者の周りから、室内暖房用灯油ストーブが姿を消してからどのくらい経つのだろうか。気が付かないうちに電気ストーブになっている。

 だが、まだまだ灯油ストーブが主役のところも多いのだろう。

 手元にある資料によると、灯油の生産量=消費量は漸減しているが、依然として年間1000万キロリットル以上となっている。

赤線が「灯油」

 でも、暖房用燃料なのに「灯油」、灯火(ともしび)用の油というのはなぜだろうか?

 長いあいだ心の奥底でくすぶっていたこの疑問は、日本最大の石油元売り会社「JXTGエネルギー」の先祖「日本石油」の社史『日本石油百年史』(昭和63年5月10日、日本石油株式会社)を読んで氷解した。

「日本石油の百年 戦前編」は、多くの図版・写真とともに「越後からの出発」から始めており、次の見開きページには「灯火の時代と手掘井」と題して次の文章が記されている。

〈明治の文明は石油ランプの明かりとともに開花した〉

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