「支持率五%でもやる」という麻生首相の迷走地図 十一月四日に国会内で開かれた野党の国会対策委員長会談の冒頭、民主党の山岡賢次国対委員長は笑顔とも呆れ顔ともとれる複雑な表情を浮かべてつぶやいた。「今、解散しないで、いつやれるんだろうね」 麻生太郎首相が十月三十日の記者会見で景気対策優先の方針を表明し、二〇〇八年秋の衆院解散の可能性が消滅したことを受けた発言だ。山岡氏の言葉に反応したのは、国民新党の糸川正晃国対委員長だった。 糸川氏「内閣支持率しだいでしょうね」 山岡氏「支持率しだいなんて言ったら……だったら、支持率上がらないからねえ」 糸川氏「だから、解散はないんじゃないですか、当分はね」 冷めた表情で二人の会話を聞いていた民主党の安住淳国対委員長代理が苦笑を抑えつつ言った。「支持率が下がって、野党の方ががっかりしているって……情けないよ」 安住氏は毒舌で知られる。「野党の方ががっかりしている」という発言も安住氏のいつものブラックジョークだろうが、半分は民主党の本音でもあった。戦術を切り替えた民主党 民主党は〇七年七月の参院選での大勝以降、小沢一郎代表が事あるごとに「解散近し」の大号令を発して、衆院選候補者たちに発破をかけ続けてきた。しかし、同年十一月のテロ対策特別措置法の期限切れ、〇八年四月の揮発油(ガソリン)税の暫定税率期限切れ――というヤマ場で自民、公明政権は衆院解散を決断しなかった。

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