ブルガリア出身の政治学者イワン・クラステフ。米憲法学者ステファン・ホルムズとともに昨秋、『The Light that Failed(消えゆく灯)』(未邦訳)を上梓した (筆者撮影、以下同)

 

 米大統領ドナルド・トランプ、ロシア大統領ウラジーミル・プーチン、ハンガリー首相オルバン・ヴィクトルは、あまり好ましい意味ではないにしても、現代国際政治の潮流を代表する人物と言える。

 自国第一主義で攻撃的、独断的、権威主義的である一方、冷静で動じない態度と大衆に直接訴えかける政治手法は、支持者から厚い信頼を得る。他国の少なからずの政治家が、彼らを指導者のモデルとしてとらえている。

「ポピュリズム」だけでは説明しにくい

 こうした政治家を語る用語として、「ポピュリズム」が近年多用されている。

 ただ、その言葉は定義自体が曖昧なうえ、少なくともプーチンは通常ポピュリストと見なされていない。トランプとオルバンを比べても、国の規模や国際環境は大きく異なり、政治家と有権者との関係に主に立脚する「ポピュリズム」の概念だけでは説明しにくい。

 ここでは、国際間の「模倣」「真似」といった側面に注目しつつ、この3人が闊歩する現象に分析を加える論を紹介したい。

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