難問関門乗り越えたEU「新型コロナ」経済対策

執筆者:広岡裕児2020年4月16日
3月26日に開かれた欧州首脳会議は異例のテレビ会議となったが、「新型コロナ」経済対策で物別れに終わった。左はミシェル欧州大統領 (C)AFP=時事
 

 4月7日午後4時、「ユーログループ」とよばれるユーロ圏財務相会合がはじまった。ブリュッセルの本部には集まらず、テレビ会議である。

 テーマはもちろん「新型コロナウイルス」に関する経済対策の資金調達だ。だが翌8日午前8時、16時間にわたる徹夜の協議は物別れに終わった。

 徹夜会議はよく行われるが、途中に何度もブレイクが入り、通常ならコーヒー片手に個別の話し合いで妥協の糸口もみつかる。今回も何度も何度も中断しては、1対1の話し合いが行われた。しかし、電話では勝手が違うようだ。

 もっともこれで決裂したわけではなく、9日の午後3時からビデオ会議を再開するということで散会した。

欧州首脳会議での失敗

 この会議は、3月26日に同じ問題をテーマにした欧州首脳会議の失敗をうけたものである。

 失敗の原因は、欧州共同債(ユーロボンド)と欧州安定化メカニズム(ESM)の利用であった。

 ユーロ加盟国は、おなじユーロという通貨をつかってはいるが、国債は各国ごとに発行する。各国の状況は異なるので、市場での国債の金利(すなわち価格)も異なる。

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