フォン・デア・ライエン欧州委員長は、EU内の右派政権国で強権的な対策が強化されつつあることに警戒の声明を出した(C)EPA=時事
 

 新型コロナウイルスの感染は先進国を誇るヨーロッパで未曽有の惨劇となった。大恐慌以来の打撃とIMF(国際通貨基金)なども強調する。

 4月時点での予想では、本年の世界経済の成長率はマイナス3%で、リーマンショック時の2009年マイナス0.1%より大きく後退、ユーロ圏全体ではマイナス7.5%、米国もマイナス6%弱だ。

 各国別の成長率を見ても、4月上旬の予測で英国は本年第2四半期だけで35.1%、年換算で12.8%(失業率7.3%)のマイナス。ドイツでマイナス9.8%(4~6月期)、フランスもマイナス6%(1~3月期)だ。

 こうした状況で果たしてEU(欧州連合)は生き残っていけるのだろうか。

 欧州の人々は自信を大きく失っているのではないか。

 第1次世界大戦直後の荒廃の時期にドイツの市井の歴史家オスヴァルト・シュペングラーが書いた『西洋の没落』(中公クラシックス)はドイツだけでなく、欧州諸国でベストセラーとなった。それに匹敵する退廃感を各国で生みはしないか。

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