シェール産業の展望は米石油化学産業にも重大な影響を及ぼす(テキサス州ヒューストン)(C)時事
 

「米シェールは再起するのか?」と題する『フィナンシャル・タイムズ』(FT)の長い記事を読み終わって、最後のところで大いなる違和感に包まれた。

 そこに至るまでは、ふむふむ、そうだ、そうだ、と頷きながら読んでいたのだが、最後の3段落は、どうしてこの観点しか議論しないのだ、と反発心すら覚えてしまったのだ。

 二度手間になるかもしれないが、引っかかった最終3段落を引用してみよう。

 まず、最初の段落。

〈(サウジアラビアとロシアの)両国はどちらも米シェールを完全に均衡状態から取り除くことには成功していない。サウジとロシアの国家予算は、米政府と比べると圧倒的に石油収入に依存している〉

 なぜ、このような話になるのだろうか?

 サウジもロシアも、米シェールを完全に取り除きたい、取り除けるとは考えていないはずだ。

 米国が自由市場の原則、すなわち経済原則に則り経済活動を行う体制であることは百も承知のはずだろう。米シェールの中にも、生産コストの高いところばかりではなく、安いところもあることも知っているに違いない。両国とも、高コストのシェールだけが退場していく、退場して欲しい、と考えているのではなかろうか。

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