コロナ禍でも作品を発表する画家デイヴィッド・ホックニー。82歳になる巨匠の言葉はシンプルで美しい (『BCC』のインタビューより)

 

 日本ではステイホーム週間が始まっている。新型コロナの感染を広げないためにできる、せめてもの社会貢献は、「家を出ない」というシンプルなことのはずだが、「いつまでか」が見えてこないと、心穏やかに過ごすのはなかなか難しい。

 私は夫で指揮者の大野和士とともに、普段は欧州を拠点にしているが、2月中旬に日本に戻った後、感染状況が悪化の一途をたどるスペインにもベルギーにも入国できなくなった。今は日本のホテルで過ごしている。この間、東京、バルセロナ、パリで予定されていた夫の演奏会は、当然ながら全てキャンセルになった。

 音楽会や展覧会、演劇、ライブなどを以前のように楽しむことができるのは、社会が日常を取り戻したその先である。その日が再び、いつ訪れるのか、そのために今、何をするべきなのか、アートに関わる人間が、日々抱えている問いだろう。

 ただ、災害など、被災が1つの地域に限定される場合と違い、困難と課題を世界で共有し、アイディアをシェアできるのが、コロナ危機の唯一の救いだ。

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