金正恩「異変説」は「インフォデミック」という「原因」と「教訓」(上)
2020年5月11日

5月1日、順川リン酸肥料工場の完工式に出席し健在を示した金正恩党委員長(『労働新聞』HPより)
朝鮮労働党機関誌『労働新聞』は5月2日、1面と2面で、金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長がメーデーの5月1日に、平安南道順川の「順川リン酸肥料工場」完工式に出席した、と21枚の写真とともに報じた。
この直前まで「重篤説」「死亡説」などが出ていたが、4月11日に党中央委員会政治局会議に出席して以来、20日ぶりに健在を示した。
この間メディアでは様々な「異変説」が伝えられたが、これが打ち消されたかたちだ。
韓国の金錬鉄(キム・ヨンチョル)統一相は4月28日に国会の外交統一委員会に出席し、内外のメディアが金党委員長の異変説を報道し続けていることに対して「インフォデミック現象」と皮肉った。「インフォメーション」(情報)と「エピデミック」(流行病)を合成した造語で、「インフォデミック(偽りの情報流行病)現象」という主張だった。
今回の「金正恩異変説」からわれわれが汲み取れる教訓とは何なのか、考えてみたい。
「異変説」の出た経緯
金党委員長の動静が不明となった4月12日、最高人民会議第14期第3回会議が開かれたが、これに出席しなかった。
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