「金正恩異変説」が広がる中、存在感を増したのは実妹の金与正氏(左から2人目)だった(5月1日、順川リン酸肥料工場完工式にて=『労働新聞HPより)
 

 今回の騒動の特徴は、韓国、米国、中国などの関係当局は金正恩(キム・ジョンウン)異変説を否定しているのに、各国のメディアが情報のキャッチボールをしながら、異変説にこだわり、事態を拡大していったことだ。

当局否定すれどメディア信せず

 1986年の金日成(キム・イルソン)主席死亡説、2008年の金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康悪化、最近では2014年の金正恩朝鮮労働党委員長の健康異変説などでは、いずれも、どこかの国の当局が異変説に関係していた。

 しかし、1994年7月の金日成主席死亡、2011年12月の金正日総書記死亡という「本番」では、北朝鮮の発表前に、北朝鮮の最高指導者の異変をキャッチした当局もメディアもなかった。

 当局者が否定しているのに、メディアが異変説にこだわったことに理由がなくはない。

 西側メディアの多くは、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)政権は親北朝鮮政権なので、平壌に忖度して、本当のことを発信するはずがないという不信感を抱いている。

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