金正恩「異変説」は「インフォデミック」という「原因」と「教訓」(下)

執筆者:平井久志 2020年5月11日
エリア: アジア
「金正恩異変説」が広がる中、存在感を増したのは実妹の金与正氏(左から2人目)だった(5月1日、順川リン酸肥料工場完工式にて=『労働新聞HPより)
 

 今回の騒動の特徴は、韓国、米国、中国などの関係当局は金正恩(キム・ジョンウン)異変説を否定しているのに、各国のメディアが情報のキャッチボールをしながら、異変説にこだわり、事態を拡大していったことだ。

当局否定すれどメディア信せず

 1986年の金日成(キム・イルソン)主席死亡説、2008年の金正日(キム・ジョンイル)総書記の健康悪化、最近では2014年の金正恩朝鮮労働党委員長の健康異変説などでは、いずれも、どこかの国の当局が異変説に関係していた。

フォーサイト最新記事のお知らせを受け取れます。
執筆者プロフィール
平井久志(ひらいひさし) ジャーナリスト。1952年香川県生れ。75年早稲田大学法学部卒業、共同通信社に入社。外信部、ソウル支局長、北京特派員、編集委員兼論説委員などを経て2012年3月に定年退社。現在、共同通信客員論説委員。2002年、瀋陽事件報道で新聞協会賞受賞。同年、瀋陽事件や北朝鮮経済改革などの朝鮮問題報道でボーン・上田賞受賞。 著書に『ソウル打令―反日と嫌韓の谷間で―』『日韓子育て戦争―「虹」と「星」が架ける橋―』(共に徳間書店)、『コリア打令―あまりにダイナミックな韓国人の現住所―』(ビジネス社)、『なぜ北朝鮮は孤立するのか 金正日 破局へ向かう「先軍体制」』(新潮選書)『北朝鮮の指導体制と後継 金正日から金正恩へ』(岩波現代文庫)など。
  • 24時間
  • 1週間
  • f
back to top