「医系技官」が狂わせた日本の「新型コロナ」対策(下)
2020年5月14日
前回の最後でご紹介したように、「新型コロナウイルス」のような新病原体が発生したときに、厚生労働省で窓口になるのは結核感染症課だ。検疫法と感染症法を所管するためだ。
日本の新型感染症対策は、この2つの法律を根拠に実施される。さらに、国立感染症研究所と連携して感染経路を調査するのも、結核感染症課の仕事だ。
では、彼らはどこで間違ったのだろうか。それは初期対応だ。まずは、この件について簡単にご説明しよう。
十分議論せずに政令指定
1月16日、武漢から帰国した日本在住の中国人の感染が確認されると、厚労省は翌17日、国立感染症研究所に積極的疫学調査の開始を指示した。
積極的疫学調査とは、感染者が確認されたらその周囲の「濃厚接触者」を探し出し、彼らも検査することだ。感染が確認されれば、感染症法に基づき、強制入院させ、そうでなければ一定期間の自宅待機を要請する。
幕末の開国により、日本でもコレラやチフスなどの輸入感染症が問題となった。当初は感染者を見つけて隔離し、その人物の自宅を家族ごと閉鎖していたが、ハンセン病患者への人権侵害が問題となって、1998年に現在のような形となった。強制隔離が待機要請に変わっても、実態は同じだ。
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