地球規模の問題なのになぜこうも対応の「温度差」が違うのか(写真はイメージです)
 

 石油市場は「最悪の事態は免れそうだ」との認識で一致してきたようだ。

「IEA」(国際エネルギー機関)は5月14日に発表した『石油市場報告2020年5月号(Oil Market Report May 2020)』(IEA月報2020年5月号)の中で、「IEA」事務局長が「Black April」と呼んだ「マイナス価格」が出来した4月の「暗いムードはピークを越えた」と報じている。

 最悪の事態とは、需給バランスが超供給過剰のまま推移し、在庫するタンクやタンカーなどが足りなくなり、世界中のあちらこちらで「想定外の生産休止」に追い込まれる油田が多発することだった。

 もし、そういった事態が発生すると、油田は「傷つく」どころではなく「致命傷を負う」ため、技術的に再生することが不可能になってしまう。すると、需要が回復し始めた場合に今度は逆に「供給不足」の「恐れ」が生じ、油価が急騰するリスクが生ずる。

 市場安定化こそ「IEA」の使命であり、「OPEC」(石油輸出国機構)もまた目指しているところなので、この事態は供給国側も消費国側も避けたかった事態なのだ。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。