ファウチ博士は早期の経済活動再開に警鐘を鳴らすも、大統領は「受け入れられない」(C)AFP=時事
 

 米国内での新型コロナウイルス感染者数は約140万人に達し、死者数も8万6000人に迫り、いずれも世界最多で引き続き深刻な状況が続いている(5月15日時点)。

 筆者が4月中旬に帰国する1カ月前の3月中旬、ワシントンDC、メリーランド州、バージニア州の首都圏の新型コロナ感染者数は100人程度だったが、それが2カ月余りで7万人超に達しており、新型コロナの感染拡大のスピードには驚かされるばかりである。

戦後最悪の失業率

 半年足らず先の11月3日に投票が行われる大統領選挙での再選を目指すドナルド・トランプ大統領は、最近、米国経済の再開を急ぐ動きをますます鮮明にしつつある。

 共和党知事の主導によりジョージア州やサウスカロライナ州、テネシー州をはじめとする南部地域などでは、すでに経済活動を再開させる動きが広がりつつある。

 さらに、ミシガン州やウィスコンシン州、ミネソタ州、ペンシルベニア州といった民主党が知事職を支配している地域では、感染拡大阻止のために導入されてきた厳格な外出禁止令に激しく反発する保守派勢力の動きが広がっており、外出禁止令の緩和や撤廃を求める抗議デモが州都などで展開されている。

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