イタリアに派遣されたキューバの医師団。だが大きな外貨獲得源にはならないという(C)AFP=時事

 

 キューバでは、1959年の革命から、およそ2世代分の時間が流れたことになる。1991年のソ連崩壊に伴う経済危機から現在まで革命体制を維持させてきたのは、他の多くの社会主義国と異なる点である。経済改革は国民生活の水準を「生かさず殺さず」のレベルを維持できる程度にとどめ、「結果の平等」を保障する制度を続けている。

 他方、この「煮え切らない」政策に不満を持つ、とくに若い世代は、さまざまな方法を用いて国外、とりわけ米国に移住している。

 革命の指導者フィデル・カストロは2016年に永眠し、後を継いだ実弟ラウル・カストロは2018年に、10年間担った最高指導者のポストを50歳代の若手ミゲル・ディアスカネル=ベルムーデスに譲った。ラウルは共産党第一書記のポストには2021年まで引き続きとどまる見込みである。

 指導者の交代は、この15年間に2度も続いたが、期待された経済改革は進捗を見せていない。

 この状況で発生した新型コロナウイルスのパンデミックは、ソ連崩壊直後に起きた革命後で最悪の経済危機にも並ぶような危機を生む可能性がある。

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