「新型コロナ」で岐路に立つ「キューバ」2度目の経済大危機(上)

執筆者:山岡加奈子 2020年5月22日
タグ: 新型コロナ
エリア: 中南米
イタリアに派遣されたキューバの医師団。だが大きな外貨獲得源にはならないという(C)AFP=時事

 

 キューバでは、1959年の革命から、およそ2世代分の時間が流れたことになる。1991年のソ連崩壊に伴う経済危機から現在まで革命体制を維持させてきたのは、他の多くの社会主義国と異なる点である。経済改革は国民生活の水準を「生かさず殺さず」のレベルを維持できる程度にとどめ、「結果の平等」を保障する制度を続けている。

 他方、この「煮え切らない」政策に不満を持つ、とくに若い世代は、さまざまな方法を用いて国外、とりわけ米国に移住している。

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執筆者プロフィール
山岡加奈子(やまおかかなこ) 日本貿易振興機構(ジェトロ)アジア経済研究所 主任研究員。早稲田大学法学部卒業後、シカゴ大学大学院国際関係学科修士課程を経て、1989年にアジア経済研究所(現・日本貿易振興機構アジア経済研究所)に入所。地域研究センター・ラテンアメリカ研究グループ主任研究員を務める。1994年~1996年に在ハバナ海外派遣員(キューバ共産党中央委員会付属アジア・オセアニア研究所客員研究員)、2005年~2007年に在ケンブリッジ海外調査員(ハーバード大学ロックフェラー・ラテンアメリカ研究所および同 大学日米関係プログラム)。主な著作に『岐路に立つキューバ』(アジ研選書)、『岐路に立つコスタリカ: 新自由主義か社会民主主義か』(同)、『ハイチとドミニカ共和国: ひとつの島に共存するカリブ二国の発展と今』(同)がある。
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