今年のメーデーは革命広場も閑散としていた(C)EPA=時事

 

 1991年のソ連崩壊による経済危機以来、キューバ政府が経済改革を行ったのは、主に2回のみである。

 1回目は危機初期の1993~94年で、外資導入や自営業解禁、ドル所持解禁、農民自由市場の再開などが実施された。

 2回目はラウル・カストロが最高指導者に就任した直後の2008~2011年で、公務員のリストラ、出国許可制廃止、24カ月までの国外滞在自由化、抑制されていた自営業の促進、非農業部門国営企業の協同組合化などが行われた。

 しかしこれ以外の時期は、基本的に貧富の格差を防ぐという名目のもと、経済改革、とくに市場メカニズムの導入が抑えられ、庶民の生活はあまり改善していないのが現実である。

店が繁盛すると閉鎖に追い込む

 たとえば、自営業は自動車の整備や自転車の修理など、2019年に6種増えたものの計173種の職種しか認められず、それ以外の職種については闇で営業するしかない。

 また卸売市場がほとんどなく、しかも数少ない国営卸売市場でも、価格は3割引にとどまる。

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