「小さな希望」と「大きな不安」の狭間で揺れる石油市場
2020年5月25日
現在の石油市場を、一言で表現するとどうなるか?
難しい。
敢えて言えば
「やっと下を見ずに、上を見て歩けるようになった」
か?
いや、
「小さな希望、大きな不安」
の方が相応しいか?
やはり、難しい。
5月23日朝、『フィナンシャル・タイムズ』(FT)の米国エネルギー部門編集長デレック・ブロウワーが書いた2本の記事を読みながら、そんなことを考えていた。
読者の皆さんも「歴史の証人」として目撃されているように、「新型コロナウイルス感染症=COVID-19」のパンデミックに翻弄され、さらに「マイナス価格」という想像を超えた衝撃から、石油市場はようやく脱しつつあるように見える。
一部で心配されていた「NYMEX」(New York Mercantile)のWTI(West Texas Intermediate)原油6月「限月」(受け渡し)で、ふたたび「マイナス価格」で取引されることはなかった。管理当局である「CFTC」(Commodity Futures Trading Commission=米商品先物取引委員会)も警告を発していたし、「NYMEX」を所有し管理運営している「CME」が世界最大の「油価連動型ETF(上場投資信託)」を発売している「USOF」(The United States Oil Fund)などに対して具体的な「建玉」(取引済み未決済契約)制限を要請していたことも効いたのだろう。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。