様々なデータはアナリストによって分析評価が異なるだけに先が「読み」づらい(米「EIA」HP
 

 現在の石油市場を、一言で表現するとどうなるか?

 難しい。

 敢えて言えば

「やっと下を見ずに、上を見て歩けるようになった」

 か?

 いや、

「小さな希望、大きな不安」

 の方が相応しいか?

 やはり、難しい。

 5月23日朝、『フィナンシャル・タイムズ』(FT)の米国エネルギー部門編集長デレック・ブロウワーが書いた2本の記事を読みながら、そんなことを考えていた。

 読者の皆さんも「歴史の証人」として目撃されているように、「新型コロナウイルス感染症=COVID-19」のパンデミックに翻弄され、さらに「マイナス価格」という想像を超えた衝撃から、石油市場はようやく脱しつつあるように見える。

 一部で心配されていた「NYMEX」(New York Mercantile)のWTI(West Texas Intermediate)原油6月「限月」(受け渡し)で、ふたたび「マイナス価格」で取引されることはなかった。管理当局である「CFTC」(Commodity Futures Trading Commission=米商品先物取引委員会)も警告を発していたし、「NYMEX」を所有し管理運営している「CME」が世界最大の「油価連動型ETF(上場投資信託)」を発売している「USOF」(The United States Oil Fund)などに対して具体的な「建玉」(取引済み未決済契約)制限を要請していたことも効いたのだろう。

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