“あえて”挑戦的ななタイトルを選んだその真意は……

 

 世界を不況に追い込み、人々の生活を一変させている新型コロナウイルスのパンデミック。この感染症の脅威を増幅しているのが、情報の氾濫、「インフォデミック」だ。

 未知のウイルスの特性や感染状況、その影響などが文字通り刻一刻と更新され、ときには数日前まで「正解」だった情報が「間違い」になる。そうした本質的な不透明要因に、発信者の政治的意図や利益誘導、国家間の情報戦が入り混じり、受け手は「どの情報を信じれば良いのかわからない」という不安がかきたてられる。

 日本の感染の第1波は下火になりつつあるが、インフォデミックとの闘いはまだ続く。それは大きなストレスだ。

 だが、私はここに一筋の光明も見出したい。今回のコロナ・ショックを通じて、医学的な根拠、エビデンスに基づいた情報への人々の感度が高まるのではないかという期待だ。

 実は「コロナ前」から、そうした予兆はあった。3冊の本を取り上げて、潮目の変化について考えてみたい。この新しい潮流を、私は「エビデンスの逆襲」と呼んでいる。

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