「コロナ後」経済復興を主導する独仏「新マーシャルプラン」の成否(下)
2020年6月2日
ここまでの動きは、3月16日に開催された「ユーロ圏財務相会議」がすべての出発点だった。
イタリアのジュゼッペ・コンテ首相は3月17日、新型コロナ対策としてユーロ共通債(コロナ債)創設の呼びかけを行った。
このユーロ債は、実はギリシャ危機の際に議論が始まった2010年以来の案件だったが、これまで煮詰まった議論はされてこなかった。しかし各国の財政が圧迫されていく中で、EUとして至急の対応が求められることになった。
この会議では、まずユーロの財政基準である財政赤字3%の枠を当面棚上げすること、景気下支えのために各国がGDP1%分の財政出動をすることで合意したが、その額は1200億ユーロ(約14兆3000億円)規模であり、アメリカの第1次経済支援額1兆ドル(約107兆5000億円)に比べるとはるかに小さい。これでどこまで支援できるのか、当初から疑問視された。加盟各国はユーロを維持するために、財政赤字幅3%を超える額の支援策をすでに公表し始めていた。
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