李克強首相(右)から、今年の経済成長目標を聞くことはできなかった(C)AFP=時事
 

 毎年3月5日から開かれる「全国人民代表大会」(日本の国会に相当、以降「全人代」)は、今年は「新型コロナウイルス」の感染拡大によって2カ月以上遅れ、5月22日に北京で開催された。例年、会期は10日間ほどだが、今年は1週間に短縮された。

 全人代の一番の見どころは、首相が行う政府活動報告だが、今年の報告の分量は、例年の3分の2程度と簡素化された。

 なによりも異例だったのは、2020年の経済成長目標を掲げなかったことである。

 その代わりに、李克強首相は報告のなかで、39回も「雇用の安定維持」を繰り返し強調した(下表参照)。

 

 そもそも全人代は民主主義国家の国会(congress)とよく喩えられるが、実際は国会というよりも、年に1度だけ行われる政治キャンペーンといったほうが適切である。政府は活動報告を通じて、人民に経済成長率目標、政策トレンドと制度改革などの基本方針を伝達し、それの実施と目標達成に向けて団結を呼びかける。

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