「感染症ムラ」解体せねば「日本医療」に明日はない
2020年6月8日
政府の「新型コロナウイルス感染症対策専門家会議」が議事録を作成していなかったことが話題になっている。
加藤勝信厚生労働大臣は、
「第1回会議で、専門家に自由かつ率直に意見してもらうため、発言者が特定されない形の議事概要を作成する方針を説明し了解された」
と説明しているが、これは国民の常識と乖離する。
どのようなデータにもとづき、どのような議論の末、緊急事態宣言となったか、多くの国民が関心を持っている。もし、匿名でしか発言できない専門家がいたとすれば、委員を降りてもらえばいい。どうして、こんな理屈が罷り通るのだろうか。
議事録問題は、日本の医療行政の宿痾を象徴している。厚労省による国家統制が「ムラ社会」を産み出し、ガバナンスが欠如する。国民そっちのけで、提供者の都合ばかりが優先される。
新型コロナ対策は、世界中が優秀な人材と巨額の資金を投入しているのに、これではついていける筈がない。本稿では、ガバナンスの視点から新型コロナ問題を論じたい。
驚くべき「臨床研究力」の弱さ
まずは、日本の対策が迷走している理由だ。
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