須賀神社の奥宮の磐座で、奥の石がスサノヲ、手前左が奇稲田姫、右が清之湯山主三名狭漏彦八嶋篠湯山(筆者撮影)
 

 新型コロナウイルスとの戦いは、長期戦に入った。辛抱するしかない。

 人間は食物連鎖の頂点に立ったが、結局微小な生物には勝てないのであって、今回の騒動は、驕る人類への警告でもあろう。

 ところで日本には、疫病を退散させてくれる有り難い神様が存在した。もっとも有名なのは、スサノヲ(素盞嗚尊、須佐之男)だ。アマテラス(天照大神)の弟で、天上界(高天原)で大暴れをして追放されたが、出雲に下って、国造りに励んだ。

 のちの時代、疫病が蔓延すると、人びとはなぜか、スサノヲにすがった。よく知られているのは京都市の八坂神社(東山区祇園町)で、祭神は牛頭天王(ごずてんのう)だが、素盞嗚命でもある。

 貞観18(876)年に僧円如(えんにょ)が、疫神(えきじん)社の脇に祇園寺を建立したのがはじまりだ。インドの祇園精舎の守護神が牛頭天王で、疫病から守ってくれる神だ。熱病に効く栴檀(せんだん)の木が茂る摩羅耶山(まらやさん)の山並みが、牛の頭に似ているところから、牛頭山と呼ばれ、疫神の名が牛頭天王になった。平安時代、すでにスサノヲは牛頭天王と同一と考えられていた。いわゆる神仏習合だ。

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