『新型コロナウイルス感染症対策専門家会議「新型コロナウイルス感染症対策の状況分析・提言」令和2年5月29日』より抜粋
 

【筆者:坂根みち子・坂根Mクリニック院長(略歴は文末に)】

「第2波に備えて、脳がよじれる程想像力を働かせて欲しい」

「国立国際医療研究センター」の大曲貴夫先生がTVのインタビューに答えていました。そのまま対策システムを作る方々にお渡ししたい言葉です。

 新型コロナウイルス感染拡大の第1波は欧米に比べて死者が少なく、「緊急事態宣言は要らなかった」論まで出てきておりますが、3月下旬に感染者が日々倍増していったときに、

「もはやこれまでか。日本も欧米のようになってしまうかもしれない」

 という絶望的な危機感に襲われた医療者はかなりいたはずです。あの時に緊急事態宣言(4月7日)や志村けんさんの死亡(3月29日)など、様々な要因が重なって「自粛」が進み感染が収束していった時、私たちはどれだけホッとしたことでしょう。

 実際にはこの頃、東京ではPCR検査までたどり着けない市中感染者が多発していました。4月11日の報道では港区のPCR検査の陽性率は6割(!)を超えていました。おそるべき数値です。これはクラスター追跡ではすでに把握しきれないほど市中に感染が広がっていたことを示しています。やはりギリギリのところでオーバーシュートが回避されたというべきでしょう。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。