去年の今頃はトランプ大統領も強気だったが(東京湾を航行するLNG船)
 

 6月15日の朝、「米国産LNGの輸出量が激減している」と報じている『フィナンシャル・タイムズ』(FT)の記事を読んでいて、

「東芝さん、良かったね」

 と独り言を呟いていた。

 一時は「1兆円の損失」とまで「誤解」されていた「東芝」の米国LNG事業については、本欄『2030年には「世界最大輸入国」になる「中国」の「LNG」事情』(2018年2月14日)の中で、「加工権」を「プロ」に転売すれば損失は「1兆円」にはならない、それより、そもそも取り上げた戦略的意図と、その後の対処策について疑問がある、と指摘したとおりだ。

 筆者の「対処策」への懸念は、それぞれ「専門的知識・経験」を必要とする「天然ガスの調達、供給、LNGの引き取り、輸送、販売」ができる人材を外部からリクルートしていないことにあった。

 操業が始まったら、これらの業務にどう対処するつもりだったのだろうか?

 筆者が石油開発会社で事業部長を務めていたころ、「東芝」と同じように石油開発事業に新規参入してきた異業種の「日揮」や「大阪ガス」は積極的に外部から人材をリクルートしていた。

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