政治の世界で最高権力者の側近である「スピンドクター」よりも大きな力を持つ英首相首席特別顧問のカミングズ。ロシアとの関係も疑われたが…… (筆者撮影)

 

 政治の世界には「スピンドクター」と呼ばれる人々がいる。最高権力者の最側近としてその人物のイメージやストーリーを描き、メディア操作を試みる。米ブッシュ(子)政権の大統領上級顧問カール・ローヴ、米トランプ現政権初期の大統領首席戦略官スティーブン・バノン、フランスのサルコジ政権で大統領特別顧問を務めたアンリ・ゲノらが知られる。

 英国の政治風土は、そうした役回りの人物が、ことさら影響力を持つようにできているのだろう。「労働党」ブレア政権の報道戦略局長アラスター・キャンベルや「保守党」キャメロン政権の戦略局長スティーブ・ヒルトンは、首相の厚い信頼を得て、閣僚を上回る影響力を行使した。

 政権担当者に限らず、例えば今年まで労働党党首だったジェレミ・コービンには広報戦略部長シェイマス・ミルンが寄り添い、左翼路線をひた走るその言動を取り仕切っていた。

 英首相首席特別顧問ドミニク・カミングズがジョンソン政権内で占める地位も、大雑把に見るとそのようなものだろう。ただ、その影響力は従来のスピンドクターよりもずっと大きい。

記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。