「英国のラスプーチン」カミングズ「政権の中枢」への道程と目的(上)
2020年6月19日
政治の世界には「スピンドクター」と呼ばれる人々がいる。最高権力者の最側近としてその人物のイメージやストーリーを描き、メディア操作を試みる。米ブッシュ(子)政権の大統領上級顧問カール・ローヴ、米トランプ現政権初期の大統領首席戦略官スティーブン・バノン、フランスのサルコジ政権で大統領特別顧問を務めたアンリ・ゲノらが知られる。
英国の政治風土は、そうした役回りの人物が、ことさら影響力を持つようにできているのだろう。「労働党」ブレア政権の報道戦略局長アラスター・キャンベルや「保守党」キャメロン政権の戦略局長スティーブ・ヒルトンは、首相の厚い信頼を得て、閣僚を上回る影響力を行使した。
政権担当者に限らず、例えば今年まで労働党党首だったジェレミ・コービンには広報戦略部長シェイマス・ミルンが寄り添い、左翼路線をひた走るその言動を取り仕切っていた。
英首相首席特別顧問ドミニク・カミングズがジョンソン政権内で占める地位も、大雑把に見るとそのようなものだろう。ただ、その影響力は従来のスピンドクターよりもずっと大きい。
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