「IEA」提言に感じる「片手落ち」の疑問

執筆者:岩瀬昇2020年6月22日
「提言」を掲げる「IEA]のHP
 

 今春、石油市場を襲った数々の「事件」の「中間総括」として、筆者は「中東協力センターニュース」2020年6月号に『「地図のない航海」を続ける石油市場 「マイナス価格」の衝撃と「ポスト・コロナ」を考える』を寄稿した。

 その最終章「6.『ポスト・コロナ』の石油市場展望」の中で、次のように書いた。

 我々は当分のあいだ「新型コロナウイルス」と共に生きて行かなければならないので、「ポスト・コロナ」ではなく「ウィズ・コロナ」の時代を迎えることになろう、とし、「エネルギー移行」問題については、今回の「新型コロナ」の災禍が「追い風」になるという楽観論と「足かせ」になるという悲観論があることを紹介し、筆者は当分のあいだ「足踏み」となるだろうと見ている、と。

 ところが6月19日の朝、『フィナンシャル・タイムズ』(FT)が、各国政府は「新型コロナ」の災禍を「追い風」にすべきだと「IEA」(国際エネルギー機関)が「提案している」という記事を読んで、首を傾げている。

「IEA」の役割とは、世界のエネルギー安定供給に資することだと筆者は考えているのだが、当該「提案」は、「IEA」加盟国である先進国にのみ有意なもので、中国やインドなどのアジア諸国、さらには中東各国など「IEA」非加盟国のことはどう考えているのだろうか、という疑問だ。

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