北朝鮮「韓国挑発」3つの理由(上)

執筆者:平井久志2020年6月25日
6月16日、北朝鮮による南北共同連絡事務所の爆破は、内外に大きなショックを与えた[韓国国防省提供](C)時事

 

 北朝鮮は6月16日午後2時49分、開城工業団地内にある「南北共同連絡事務所」を爆破した。今年の6月25日は、朝鮮戦争勃発から70周年の日である。その70周年を目前に、南北協力の象徴である同事務所が北朝鮮により爆破されたことは、南北和解の難しさを強く浮き彫りにした。

 この事務所は、2018年4月に行われた板門店での南北首脳会談で採択された「板門店宣言」で設置に合意したもので、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領と北朝鮮の金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党委員長による南北協力の象徴ともいえる建物だ。

韓国与党「共に民主党」の金太年(キム・テニョン)院内代表は、

「(韓国)国民の心も爆破したのも同然だ」

 と述べたが、2018年2月の平昌冬季五輪への北朝鮮の参加から始まった、南北和解の流れが崩れ去る光景でもあった。

 北朝鮮側は6月13日の金与正(キム・ヨジョン)党第1副部長の談話で「南北共同連絡事務所」が「跡形もなく崩れる悲惨な光景を見ることになるであろう」と予告していたが、実際には横に建つ15階建ての「総合支援センター」の外壁まで吹き飛ばし、一般の建物破壊に必要な爆発物を上回る量を使い、壊すつもりのなかった「総合支援センター」まで半壊してしまったようだ。南北関係は悪化に急激に悪化するのは必至とみられた。

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