【特別対談】「制裁外交」から見える「盟主」アメリカの揺らぎ(下)
2020年6月28日
杉田弘毅さん(共同通信社特別編集委員)の新著『アメリカの制裁外交』(岩波新書、2月刊)をベースにした、杉田さんと三牧聖子さん(高崎経済大学准教授)の「Zoom」対談もいよいよ佳境。「アメリカとはいったい何なのか」について語り合う最終回――。
三牧聖子:今回の人種差別への抗議デモを見ていると、黒人と白人の対立というよりは、世代間の考えの違いを感じます。いまの若い世代が生まれ育ったアメリカは、他国に戦争を吹っかけ、泥沼化して抜け出せない、国内では貧富の格差は拡大し続け、大学に進学したらすごいローンを抱えなければいけない、そんな悲惨なアメリカです。「アメリカン・ドリーム」をみるどころか、アメリカの現状に苛立って育った。彼らが「公平」「正義」という理想にひかれ、それらを大事な価値だと考えるのももっともでしょう。
COVID-19が突き付けたもの
三牧:アメリカ国民は国連嫌いと思いきや、最近の世論調査によると、若い世代には、アメリカ一国ではグローバルな諸問題は解決できない、各国で協力すべきだとして、グローバルな協調の場として国連を好意的にみるまなざしがあるようです。そこには、アメリカは決して特別な国ではない、様々なほころびや弱さを抱えていて、一国では生きていけないという冷静で相対的な自国へのまなざしがある。
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