【特別対談】「制裁外交」から見える「盟主」アメリカの揺らぎ(下)
杉田弘毅さん(共同通信社特別編集委員)の新著『アメリカの制裁外交』(岩波新書、2月刊)をベースにした、杉田さんと三牧聖子さん(高崎経済大学准教授)の「Zoom」対談もいよいよ佳境。「アメリカとはいったい何なのか」について語り合う最終回――。
三牧聖子:今回の人種差別への抗議デモを見ていると、黒人と白人の対立というよりは、世代間の考えの違いを感じます。いまの若い世代が生まれ育ったアメリカは、他国に戦争を吹っかけ、泥沼化して抜け出せない、国内では貧富の格差は拡大し続け、大学に進学したらすごいローンを抱えなければいけない、そんな悲惨なアメリカです。「アメリカン・ドリーム」をみるどころか、アメリカの現状に苛立って育った。彼らが「公平」「正義」という理想にひかれ、それらを大事な価値だと考えるのももっともでしょう。
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