日本文化「印鑑」は本当に必要なのか

執筆者:鷲尾香一2020年6月30日
政府見解だけではなく法改正が必要(写真はイメージです)
 

 6月19日、内閣府、法務省、経済産業省は連名で、押印の扱いに対して「押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない」との正式見解を発表した。

 政府により、新型コロナウイルスの感染拡大防止のための外出自粛要請がなされ、リモートワークが推奨される中、日本経済団体連合会など各経済団体からは政府に対し、

「コロナ感染症対応としての規制・制度の見直し要望」

 が出され、中でも、

「各種行政手続きの押印原則・書面申請の撤廃」

 が求められていた。

 これに対して政府は、

「私法上、契約は当事者の意思の合致により、成立するものであり、 書面の作成及びその書面への押印は、特段の定めがある場合を除き、必要な要件とはされていない」

「特段の定めがある場合を除き、契約に当たり、押印をしなくても、契約の効力に影響は生じない」

 との正式見解を示したのである(「押印についてのQ&A」内の「問1.契約書に押印をしなくても、法律違反にならないか。」より)。

 政府はこの見解の中で、

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