「イージス・アショア」配備撤回は「防衛政策」お粗末さの帰結
2020年7月1日
日本の「地対空迎撃ミサイル(Surface to Air Missile=SAM)防空体制」は、ペトリオット(航空自衛隊、以下「空自・陸自・海自」)、イージス・システム(海自艦載)に、イージス・アショア(陸自)を加え、北朝鮮の核兵器・弾道ミサイルに特化した整備が進められてきた。
しかし既報のとおり、「イージス・アショア」配備は、切り離し推進部(ブースター)が住民の生活地域に落下する危険性を排除できず「撤回」となった。
「陳腐な想定」だった配備計画
だが、今回のイージス・アショア撤回という防衛政策には、見当違いがある。それはSAMで迎撃する事態発生時に、攻撃を仕掛けてきた弾道ミサイルよりも、ブースター落下の危険を優先したことだ。
弾道ミサイル発射が察知されれば、仮に頭上を越えて米大陸に照準されていても、軌道下、危険エリアの非戦闘員(民間人)は、真っ先に避難させなければならない。弾道ミサイル攻撃で自衛隊員に犠牲が出たり、民間施設などが破壊される恐れは残念ながら不可避であり、「覚悟」が必要だ。だからこそ、陸自イージス・アショア基地に対する攻撃のトバッチリや、SAMブースターの切り離し落下から住民を護るシェルターなど避難施設の整備は、必須なのである。
記事全文を印刷するには、会員登録が必要になります。