日本の今後の防衛体制を充分に考察した上での「イージス・アショア」配備計画だったのか(写真はルーマニアに配備されている同システム)(C)EPA=時事

 

 日本の「地対空迎撃ミサイル(Surface to Air Missile=SAM)防空体制」は、ペトリオット(航空自衛隊、以下「空自・陸自・海自」)、イージス・システム(海自艦載)に、イージス・アショア(陸自)を加え、北朝鮮の核兵器・弾道ミサイルに特化した整備が進められてきた。

 しかし既報のとおり、「イージス・アショア」配備は、切り離し推進部(ブースター)が住民の生活地域に落下する危険性を排除できず「撤回」となった。

「陳腐な想定」だった配備計画

 だが、今回のイージス・アショア撤回という防衛政策には、見当違いがある。それはSAMで迎撃する事態発生時に、攻撃を仕掛けてきた弾道ミサイルよりも、ブースター落下の危険を優先したことだ。

 弾道ミサイル発射が察知されれば、仮に頭上を越えて米大陸に照準されていても、軌道下、危険エリアの非戦闘員(民間人)は、真っ先に避難させなければならない。弾道ミサイル攻撃で自衛隊員に犠牲が出たり、民間施設などが破壊される恐れは残念ながら不可避であり、「覚悟」が必要だ。だからこそ、陸自イージス・アショア基地に対する攻撃のトバッチリや、SAMブースターの切り離し落下から住民を護るシェルターなど避難施設の整備は、必須なのである。

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