サバイバルレースの先に巨大な利益が待っているなら、我慢のしがいもあろう。だが、半導体産業を待つのは、「低価格部品産業」への道だ。 巨額の先行投資を仕掛けた者が勝ち残ってきた半導体業界に「行き止まり」が見えてきた。二〇〇九年は、製品を作れば作るほど赤字が膨らむ「最後の我慢比べ」となる可能性が高い。メーカー各社は他社が落伍するのを期待しつつ必死で耐えるが、勝者を待つのも実は混迷でしかない。     *「前代未聞で予測不能な時期の開催になってしまった」。昨年十二月二日、米シリコンバレーに本部を置く半導体産業の業界団体SEMIのスタンリー・マイヤーズ最高経営責任者(CEO)は都内で開いた記者会見で顔を歪ませた。 会見の目的は、SEMIが翌日から三日間、幕張メッセ(千葉市)で開く展示会「セミコンジャパン二〇〇八」のPR。毎年十二月に開かれるこの展示会は日本の半導体業界で最大のイベントで、国内外の関連メーカーが最新の技術を披露する。世界の半導体業界の次の一年を占う意味でも注目度は高い。だが、出展社も来場者も前年より減少したセミコンジャパン二〇〇八は、先行きの厳しさを象徴していた。 マイヤーズCEOは会見で、半導体製造装置の〇九年の世界販売が二百四十二億九千万ドルと〇八年実績見込み比で二一・四%減少する予想も発表。市場縮小は二年連続で、販売金額は新型肺炎(SARS)で半導体製造の一大拠点である台湾向けの出荷が止まった〇三年以来の低水準となる。

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