EVで先行独走する米「テスラ」はついに株式時価総額でトヨタを抜いた(写真はイメージです)
 

 2016年1月、WTI原油価格が30ドルを割り込んだときに編集部から要請を受け、「価格」に焦点を絞って書き始めた『原油暴落の謎を解く』(文春新書、2016年6月)の最後を、筆者は次の文章で締めくくった(第五章 原油価格はどうなる? 小見出し:いつ上がるのか?)。

〈石油会社は各社とも、価格予測を公表はしていないが、社内において該当プロジェクトの投資決断を行う場合には、何がしかの「価格予測」を前提としている。そのプロジェクトが立ち上がり、数十年間継続して運営していく際の経済性の根拠となる「価格」だ。もちろん、毎年のように見直しを行い、たえず変更されているものと思われるが、この「価格」こそが、将来の原油価格がどうなりそうかのヒントの塊であろう。

 残念ながら、その「ヒントの塊」を垣間見ることはできない〉

 ところが、である。

 最近、相次いで大手国際石油が経営の前提としている想定価格を公表している。

 英大手石油会社「BP」は6月14日、8月4日に発表予定の2020年第2四半期(2Q20)決算において最大175億ドル(約1兆9000億円)の減損処理を行う、2020年から2050年の想定平均ブレント原油価格を70ドル/バレルから55ドルに約27%下方修正する(米ヘンリー・ハブ渡し天然ガス価格も、平均3.80ドル/百万英国熱量単位=MMBTU=から約31%引き下げ、2.90ドルへ)と発表した(『フィナンシャル・タイムズ』=FT=2020年6月15日「BP to slash value of assets by up to $17.5bn  after cutting energy price outlook」)。

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