中南米が「パンデミックの中心地」となった構造的要因
2020年7月7日
中南米の多くの国が、国境封鎖や外出禁止令など厳しい防疫体制を敷いて新型コロナウイルスの感染拡大に対応して6月で100日が経過した。
しかし、未だ感染拡大のピークは確認されていない。むしろ6月に入り急拡大を続け、7月5日現在、全体で感染者数約300万人、死者数は13万人を数え、まさに中南米は「グローバル・パンデミックの中心地」となった。
隔離政策の失敗は明らか
ウルグアイ(感染者数955人、死者28人)を除くと、これまでの隔離政策の失敗は明らかである。
生命と生活(経済)を守る政策ジレンマの中で、感染防止と社会経済活動の折り合いをつける局面を迎えているが、隔離政策下で見切り発車的に経済が再開されることが繰り返され、感染が拡大する危険性がある。
厳しい行動制限によってもウイルスの蔓延を封じ込められなかった原因としては、総じて脆弱な医療体制、医療設備・資源の地域的偏在の問題がまず挙げられるが、政府のガバナンス能力の低さと、政府に対する国民の信頼度の低さが根底にはある。
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