中南米が「パンデミックの中心地」となった構造的要因

執筆者:遅野井茂雄 2020年7月7日
タグ: 新型コロナ
エリア: 中南米
6月30日、段階的な経済再開を発表したペルーのビスカラ大統領(C)AFP=時事

 

 中南米の多くの国が、国境封鎖や外出禁止令など厳しい防疫体制を敷いて新型コロナウイルスの感染拡大に対応して6月で100日が経過した。

 しかし、未だ感染拡大のピークは確認されていない。むしろ6月に入り急拡大を続け、7月5日現在、全体で感染者数約300万人、死者数は13万人を数え、まさに中南米は「グローバル・パンデミックの中心地」となった。

隔離政策の失敗は明らか

 ウルグアイ(感染者数955人、死者28人)を除くと、これまでの隔離政策の失敗は明らかである。

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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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