ペルー大統領選「急進左派」勝利をもたらした「地方の怒り」と「反フジモリの壁」

執筆者:遅野井茂雄 2021年6月15日
タグ: 大統領選
エリア: 中南米
麦わら帽子がトレードマークのカスティジョ氏©️AFP=時事
ペルー大統領選で急進左派の無名の教師が勝利した。度重なる大統領の交代という政治混乱の末に起きた「投票箱の革命」は、ペルー社会に何をもたらすのか。

 

 6月6日に行われたペルー大統領の決選投票は、6月13日の時点で急進左派「自由ペルー」のペドロ・カスティジョ氏が0.268ポイント(約4.7万票)差の接戦を制し、「人民勢力党」のケイコ・フジモリ氏に勝利した。

 ケイコ氏側が不正(投票所管理者の署名偽造など)を理由に投票所826カ所の集計結果(約20万票)を無効にするよう全国選管に訴え、法廷審議に持ち込んだため、最終的な公式結果の発表には時間を要するが、結果を覆すのは困難。大統領選は事実上決着したと考えられる。

カテゴリ: 政治 社会
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執筆者プロフィール
遅野井茂雄(おそのいしげお) 筑波大学名誉教授。1952年松本市生れ。東京外国語大学卒。筑波大学大学院修士課程修了後、アジア経済研究所入所。ペルー問題研究所客員研究員、在ペルー日本国大使館1等書記官、アジア経済研究所主任調査研究員、南山大学教授を経て、2003年より筑波大学大学院教授、人文社会系長、2018年4月より現職。専門はラテンアメリカ政治・国際関係。主著に『試練のフジモリ大統領―現代ペルー危機をどう捉えるか』(日本放送出版協会、共著)、『現代ペルーとフジモリ政権 (アジアを見る眼)』(アジア経済研究所)、『ラテンアメリカ世界を生きる』(新評論、共著)、『21世紀ラテンアメリカの左派政権:虚像と実像』(アジア経済研究所、編著)、『現代アンデス諸国の政治変動』(明石書店、共著)など。
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