ゴーン被告の場合は完全な「逃亡者」だが……(C)AFP=時事
 

「自動車部品カルテル事件」をご存じだろうか。知る人ぞ知る、数十社もの日本企業が関与した国際的なカルテル事件だ。

 事件の端緒となったのは、2010年2月の日米欧などの競争当局による一斉立ち入り検査だった。筆者はそれ以来、事件をフォローし、このほどその成果をまとめ、『国際カルテル 狙われる日本企業』(同時代社)を上梓した。

 自動車部品カルテル事件では、世界各国・地域で企業に対して総額約6000億円もの金銭的ペナルティーが科された。

 特に厳罰姿勢が目立ったのが、米司法省だった。日本の独占禁止法に相当する反トラスト法に違反したとして、企業46社に対して計約3000億円の罰金を科した。摘発された企業の大半は日本企業だ。

 

 ワイヤーハーネス製造大手の「矢崎総業」には4億7000万ドル(当時のレート換算で約360億円)と、1企業として最大の罰金が科された。

 ほとんどの企業は米司法省と司法取引を結び、処分を軽くしてもらう見返りに捜査に協力した。それでも数十億円、数百億円という巨額の罰金を免れることはできなかった。

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