7月23日、ポンペオ国務長官は演説で対中政策の転換を宣言したのだが……(C)EPA=時事

 

 真珠湾攻撃前夜、在米日本大使館内でひそかに暗号表を燃やした歴史を思い出させるシーンだった。7月21日、米国政府が閉鎖命令を出したテキサス州ヒューストンの中国総領事館。館員が機密文書とみられる書類を燃やす光景が地元テレビで報道された。

 ただ79年前の日本大使館とは違い、火事の通報で消防や警察が出動する大騒ぎになった。大きいニュースになり、むしろドナルド・トランプ米大統領の陣営は喜んだだろう。

 これに対し中国は報復し、同24日に四川省成都の米総領事館に対して閉鎖を命令した。

 この米中応酬の間、23日にはマイク・ポンペオ国務長官がカリフォルニア州のニクソン大統領図書館で、中国に対するこれまでの「関与政策を継続すべきではない」と、歴史的な対中政策の転換を宣言した。

 ただ演説には米中の歴史に関する重大な誤認があり、トランプ政権の対中戦略策定は準備不足が否めない。対中強硬策は11月3日の米大統領選に向けた対策でもあり、今後外交・安保・インテリジェンス面での米中の攻防は激しさを増しそうだ。

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