15歳で「イスラム国」に出奔「ジハードの花嫁」の英国「帰国」は許されるか
2020年7月30日
英国の欧州連合(EU)離脱を巡る昨年後半の騒ぎから、今年に入っての「新型コロナウイルス問題」へと、欧州での関心が目まぐるしく変化する中で、以前しきりに叫ばれた「テロの脅威」を最近、あまり耳にしない。
シリアからイラクにかけて一時広大な支配地を確保した過激派組織「イスラム国」が昨年事実上崩壊し、彼らが支援するテロリストの動きも沈静化したことで、大規模テロの恐れは遠のいたと思われている。実際、散発的な出来事ならともかく、2015年にフランスで相次いだ風刺週刊紙『シャルリー・エブド』襲撃事件やパリ同時多発テロのようなスペクタクルを準備する余力は、彼らに残っているようには思えない。
ただ、欧州でのイスラム過激派のネットワークはこれまでも10年、20年の単位で伸縮を繰り返しており、細々と続く水脈が将来息を吹き返さないとも限らない。その点で気を緩めてならないのは、欧州各国から「イスラム国」に渡航した若者たちの動向である。多くは戦闘やテロですでに命を落としたが、その一部はシリアやイラクで拘束され、帰国する機会をうかがっている。
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