自身より人気が高まっていたフィリップ首相の存在が背後から迫り、恐れたのか(C)AFP=時事
 

 フランスでは6月末の市町村議会選挙の後、ジャン・カステックス新首相による新政権が7月6日に発足した。

 コロナ禍からの復興と景気浮揚・財政再建を喫緊の課題として、左派環境派の台頭を前に2年後の大統領選挙での再選を目指すマクロン政権は正念場を迎える。

苦衷の中の「公正」の模索

 7月14日のフランス革命記念日(カトーズ・ジュイエ)に、エマニュエル・マクロン大統領は異例のインタビュー形式によるテレビ演説を行った。1時間45分にわたる熱弁だったが、新型コロナウイルス危機の中でマクロン派の退潮をいかに反転させるか、大統領の苦衷がにじみ出ていた。

 演説内容の第1は、コロナ禍からの復興のための1000億ユーロ(約12兆円)以上の追加経済対策だった。すでに実施されている4600億ユーロ(約57兆円)の支援に上乗せされるが、産業・環境・地方・文化・教育などの各分野の振興策に充てられる。

 第2に、コロナ禍で採用が滞っている雇用の回復、とくに新卒者70万人雇用計画を伴う若年雇用促進を優先課題として挙げた。「低職業資格保有者」の雇用企業に対する保障減免措置の導入などがその施策である。

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