韓国映画『殺人の追憶』実在事件34年ぶり「解決」で残る負の「追憶」(上)
2020年8月5日
韓国映画『パラサイト 半地下の家族』でアカデミー賞4部門を受賞したポン・ジュノ監督の、もう1つの代表作といえば『殺人の追憶』だ。2003年に公開されたが、この作品の素材になったのが、いわゆる「華城連続殺人事件」である。
この事件は、1986年9月15日から1991年4月3日までの5年間に、韓国の京畿道華城市(当時は華城郡)で発生した13歳から71歳までの10人の女性が犠牲になった連続殺人だ。
韓国の警察当局はさる7月2日、一連の捜査の最終結果を発表し、事件はすべて釜山教導所(刑務所)に服役している李春在(イ・チュンジェ)受刑者の犯行で、李受刑者は、このほかにも4人を殺害し、少なくとも9件の強姦事件も起こしていた、とした。
捜査は最初の犯行から34年目にようやく全容が明らかにされたわけだが、これで本当にすべての幕が下りたのだろうか。
「華城連続殺人事件」とは
一連の犯行の大部分は女性を強姦し、殺害するという残忍なもので、華城市の台安邑、正南面、八灘面、東灘面のわずか半径約3キロ内で起こったが、犯人は長い間見つからなかった。
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