バイエルン州首相のマルクス・ゼーダー氏(右)に誘われ、ヘレンキムゼー城で行われた州政府の閣議に出席したメルケル独首相。異例のことに、政界周辺では様々な“憶測”が囁かれた (C)EPA=時事

 

 ドイツ総選挙までほぼ1年。約15年間にわたり首相を務めたアンゲラ・メルケル氏は、来年、政界から引退する方針だ。このため、総選挙はメルケル首相の後継者を決める重要な政治イベントとなる。

 ドイツだけでなく、世界中の市民の目がこの選挙に注がれる。だがコロナ危機によって、意外な政治家が首相候補レースでトップに躍り出ている。

異例の州政府閣議出席

 7月14日、メルケル首相はベルリンからドイツ南部・バイエルン州に向かった。そこで展開された光景は異例だった。

 行先は、バイエルン州南東部のキムゼーという湖。はるか彼方にアルプス山脈を望む、風光明媚な観光地である。メルケル首相は湖に浮かぶ島に遊覧船で向かい、旧バイエルン王国のルートヴィヒ2世が19世紀に建設させたヘレンキムゼー城に入った。

 この城は、ルートヴィヒ2世がフランスのベルサイユ宮殿を模倣しようとした建造物である。

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