ベトナム戦争になぞらえ、これからの闘いを「テト攻勢」と評するメディアも(C)AFP=時事
 

 今から10年ほど前、4年弱のバンコク勤務を終え石油開発会社本社に帰任した筆者は、人事担当役員に任じられた。初めての役割なので、人事部経験の長い「三井物産」入社当時の石油部T先輩に教えを請うた。

 T先輩いわく、毎年200人弱の新入社員を採用するにあたり、もっとも重要なのは優秀な一次面接者を集めることだったという。

 一次面接者は、社内各営業部の課長代理クラスに週末出勤をしてもらい対応していた。だが、各部とも優秀な課長代理クラスほど多忙で、なかなか集まってもらえない。

 そこでT先輩たち人事部員は口説き文句を考え出した。各営業部の人事管理責任者(ほとんどが部のNo2的次長、部長代理クラス)に対し、こう説得したのだそうだ。

「物産マンの生涯給与は約2億円(当時)です。200人採用するということは、いわば400億円プロジェクト。400億円プロジェクトを推進するためには、優秀な人材が必要です。人というのは、自分より優秀な人を『優秀』とは評価できないものです。自分より優秀ではない人を『(自分とは違うが)優秀(な面がある)』としか評価できないのです。ですから、優秀な人材を採用するためには、一次面接者が優秀でなければならないのです。全社的400億円プロジェクトにご協力を!」と。

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