事件現場にロウソクを供える追悼者たち(筆者撮影、以下同)
 

 ジョージ・フロイドが殺害された雑貨屋の前に置かれた献花の前で祈るように座っていたのは、ヘレン・ディルマン(22)だった。

 彼女の話を聞いたのは、6月2日の夕刻のことだった。

 隣町のセントポールにある大学の3年生だという彼女は、座り込みをはじめて4日か、5日目になるという。

「連日のようにここに通っているうちに、日にちの感覚がなくなったのよ。大学は、新型コロナウイルス以降、授業はないわ。白人には特権(white privilege)があるのよ。同じような状況で警察と向き合っても、威嚇的な行動をとられることは少ないわ。特に女性はね。だから、夜間外出禁止令が出た後に、私がここに座っていることで、警察がこの場所に入ってこないようにしているのよ。微力だけれど、私にできるのは、この場所にできるだけ長くいること。昨夜は、午前1時までいたわ。ジョージ・フロイドの事件についてどう思うかって? これは本当に、氷山の一角(cherry on the top)にすぎないのよ」

献花の前で祈るように座っていたヘレン・ディルマン

 ディルマンは昨年10月、アルバイトで働いていた「UPS」(「ヤマト運輸」のような米国の宅配業者)の支店で、10代の黒人少女が警官3人に力ずくで抑え込まれて逮捕される様子をスマホで撮影した、と言う。

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